魚とお茶、田んぼ

2020/03/15

■プロローグ

t f B! P L
『魚とお茶』、と聞いて、当たり前の組み合わせ、と思う人もいれば、魚ならお酒かゴハンじゃないの?と違和感を持つ人もいらっしゃるでしょう。でもここではお茶です。不思議なことに肉や野菜で作ったあてでも、日本人は「さかな(肴)」と呼びます。「肴」と書けば「お酒」なのですが。

やっぱりサバ

あるとき同僚と奈良に出張に行った時のこと、昼食に、元祖ともいわれる「柿の葉寿司」の名店に入りました。鯖のほか鮭や鮎の盛り合わせを注文し、鮎、鮭と食べたあと鯖を口に入れると、私は思わず「やっぱりサバは旨いね!」とうなりました。それを聞いた同僚は「サバは旨いよ!」と、まったく同じことを思っていたのです。それから10日後、私はたまたま30年ぶりの釣りに誘われ、横須賀から相模湾に船で釣りに出ました。船出から約1時間、ようやくアタリがあり竿を上げると鯖がかかっていました。みると同じ船のほぼ全員が鯖を釣り上げています。その後もしばらくは入れ食い状態、鯖は群れにあたりさえすれば私のようなド素人でも簡単に釣れることを実感しました。
古代から鯖は入手しやすい魚でしたが、一方で傷みやすい魚でもあります。それがいろんな調理法や加工法が生み出されるきっかけとなり、日本人と鯖の長い付き合いが始まったのです。塩漬けにされた鯖は海から遠く離れた奈良の都でも食べられるようになり、いま私たちは柿の葉寿司として食べることができる。鯖は日本人のDNAに刻まれている魚なのです。

お茶は日本人のルーツ

一方の、お茶。お茶は焼畑と深いかかわりがあります。
お茶の木の根は火に強く、焼畑で山を焼いたあとも生き残り、いちばん最初に伸びてくるのです。昔の人はその生命力のある木の葉っぱに注目しました。焼畑農耕をして、お茶を飲む人たちはネパール、北東インドからミャンマー、中国の雲南省や福建省、台湾、そこから海を渡って鹿児島、宮崎、高知などの広い地域に住んでいます。そこには共通の食習慣や祭りなどがあって照葉樹林文化と呼ばれています。私はここに日本人のルーツがあると考えています。

田んぼは文化を生み出す装置

「魚とお茶」、これに「米」。日本の食文化を構成する3元素といってもいいでしょう。
この3つに共通するのは、発酵。茶葉は放っておくと自然に発酵します。米は麹と結びつき米麹となり、魚と米麹がいっしょになると奇跡の味を生み出します。このプロローグのタイトルも「魚とお茶、お米」にしたいところですが、私が注目しているのはその米が作られる「田んぼ」のほうです。米を生み出す田んぼは、人の営みのなかで最も自然の生態系に溶け込んだ「装置」だと思います。この装置が日本人の食文化はもちろん価値観にも大きな大きな影響を与えています。
地域活性化に3つの視点
魚を生でも食べる日本人、世界でも類い稀な食文化がある日本。『SUSHI』は世界で通じる言葉になり、和食は世界遺産になりました。美味しい食を求めて国内はもちろん、海外からもたくさんの旅行者が訪れるようになった日本。私はこの食文化を遺し、地域の活性化につなげていきたいと考えています。そのためには、3つの視点が不可欠と考えています。

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魚とお茶と田んぼが3つの視点や地域活性化とどう関係するのか、このブログでは連載コラム形式でその関係を解き明かし、実現までの具体策や、Cyber Traveler &Co. の取り組みなどをお話ししていきます。



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