「田んぼ」は生きるエネルギーを生み出す装置

2022/10/10

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Vol.28 『地域全体で考える』

労働力不足解決のためだけではなく、もっと踏み込んだ考え方へ。


あのころは、

歴史を振り返ってみましょう。1980年代の半ばごろから急激に円高が進み、バブルが崩壊した90年代初め以降も続きます。製品を輸出することで潤っていた日本企業にとって円高は逆風です。そこで日本企業は日本で作って日本から輸出するのではなく、海外で生産するようになります。そこで目を付けたのが人件費の安い中国や東南アジアです。80年代後半から一気に進出が始まり、特に2000年前後からは中国進出ラッシュになりました。

それがいま、人件費が安かったアジア諸国は給与水準が上がり、物価と比べた生活水準では飛躍的に豊かになり、購買力も上がっていきました。特に中国は2010年前後から、それまでの「世界の工場」=生産地から、「世界の市場」=消費地へと変貌を遂げたのです。


日本に魅力があるうちに

このような変化は日本で働きたいと思う若者たちの心理にも大きな影響を与えています。給与水準が上がり、わざわざ日本に行くという苦労やリスクを背負わなくても、母国で仕事が得られ、快適な生活を送れるようになってきたのですから。もちろん、まだまだ日本との生活水準の差は大きいのですが、相対的に見ればその差はどんどん縮まってきています。また「日本との生活水準の差は大きい」と書きましたが、それはかなり、ひいき目にみたものだと私は思っています。アジアの国々より日本のほうが水準が上と信じて疑わない人がまだまだ多いですが、もうそんな考えは改めないと足元をすくわれる時が来ています。

20年以上、まともに給料が上がらなかった日本と、その間、毎年、数%の賃金上昇、経済成長を続けてきたアジア諸国。追いつかれて当然です。おまけにこの円安。それでも日本を目指そうと考えてくれる若者たちがいるのは、日本のアニメやコミック、歴史や食などサブカルチャーも含めた日本文化への憧れと、日本人が作り出す安心安全でホスピタリティにあふれた社会の賜物です。


共生で生まれるものとは

日本の企業が外国人を雇用することで得られることは何でしょうか?外国人がもたらしてくれることは何でしょうか?「多様性」、「ダイバーシティ」といわれますが、具体的にはどのようなメリットなのでしょうか?一般に企業が外国人を雇用する場合、日本人よりも多くの手続きが必要になり、管理責任も伴います。そこまでして雇い入れたいと感じさせるメリット、日本の企業経営者にとってのメリットとは?

たとえば、ある地方の自動車ディーラーはベトナムへの進出を決め、そのためにベトナム人の技能実習生を戦略的に招いているそうです。その実習生たちには将来、その会社のベトナム法人で幹部候補生として働いてもらいたいと考えています。ここまで目的がはっきりしていればいいのですが、どの企業もベトナムに進出できるわけではありません。でも、満足な給料が払えず日本人を雇えない、かといって外国人を雇っても管理ができないという企業がたどる道は、「廃業」しかありません

企業単位ではなく、地域で外国人雇用をサポートする体制を作らなければ、地域全体が沈んでしまいます。本格的な外国人との「共生」を地域単位で、地域のみんなで考えていくときが来ています。





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