「フードツーリズムマイスター」ってどんな仕事?

2020/05/25

◆Tourism_1

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Vol.02 そこに「行く」だけではなく、そこに「関わる」観光へ
宿泊施設や飲食店の廃業、倒産が相次いでいます。客足の回復には1年半はかかるとか、コロナが去っても観光は元通りにはならないとも言われています。

観光ってなに?

廃業を決めた宿泊施設の中には100年以上も伝統を守り抜き、建物自体が重要文化財に指定されているような老舗もあります。こういうニュースを聞くと無念でなりません。前回、このコラムで「ツーリズムをつくり直す」と宣言しましたが、これからの観光業はどうつくっていけばいいのでしょうか?そのために一度、「観光ってなに?」という根本から定義し直してみます。
私は感染症が終息し、ニューノーマルを迎えたとき、観光はこんなふうに変わると考えています。下表にまとめました。


そこに「行く」だけではなく、そこに「関わる」観光へ

外出自粛のなか、どこかに行きたい!という気持ちはピークに達しています。自粛が解除され旅行できるようになったら、あなたはまずどこに行きますか?もともと行く予定があったなら別ですが、そうでなければこれまでに行ったことのある場所に行くのではないでしょうか?旅には主に、①行ったことのない場所を訪ねる、と、②お気に入りの場所に通う、という2つのスタイルがあります。これからの観光は当面、後者が主流になると考えています。その理由は「安心」です。
では、観光地側はどう対処すればいいでしょうか?それには「安心」を醸成するため、ITネットワークを使って、まるでそこで暮らしているような感覚を演出することです。この外出自粛のおかげで旅行する側は「オンライン」や「バーチャル」に慣れてきました。定点観測のように毎日、毎週、地元の風景の写真や動画をアップし年間を通じて見せる、地元の居酒屋さんでオンライン飲み会をするなど、そこに暮らしているような気持ちにさせることです。田んぼで稲が育つ様子が見られたり、ホタルや星空観賞できたりすれば最高です。空き家があれば、「ここがあなたの家」とバーチャル賃貸もありでしょう。さらに重要なのは、米や野菜、魚などを共同購入できたり、居酒屋の料理や地元の酒を買えるようにするなど、消費活動にも関わってもらうことです。こうしてそこに暮らしているように関わりを持ってもらえれば、大きな「安心」が生まれてきます。


働く人が主役、誇りと対価を得られる産業クラスターに

一方で、私が観光地に行ってときどき感じるのは、観光に携わる業界の人手不足と携わる人たちの疲労感です。国税庁は毎年、「民間給与実態調査」を発表しています。平成30年(2018年)では全業種平均が440万7千円のところ、「宿泊業・飲食サービス業」は250万8千円で最下位。「農林水産業」も311万6千円と決して高くはありません。一人でも多くの人が第1次産業も含めた観光関連業に就きたい、と思ってくれなければ、この先、どれだけ観光客が増えたとしても、明るい未来はありません。働く目的はお金ばかりではないとも言われますが、この水準は低すぎます。しかも宿泊業や飲食業は長時間労働が常態化し、これでは結婚や子育てもできません。この解決策は意外と思われるかもしれませんが、その街の農林水産業に関わる人と料理、調理のプロが話し合って、新しいメニューや加工品を開発していくこと、そして、最も重要な、「IT系人材の確保」から始まると私は考えます。
次回からは、さらに詳細な提案をしていきます。



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