「田んぼ」は生きるエネルギーを生み出す装置

2020/08/25

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Vol.04 『減っていく農地、担い手不足』 

耕作放棄地や荒廃農地が増える理由をもう一度、確認してみましょう。そこから解決の糸口を探っていきます。


跡継ぎがいない、継がせたくない

最初の「高齢化や労働力不足」というのは“後継ぎ“がいない、ということが一番、大きな原因です。自分では農業をやっていきたいけど、重労働だし、もう身体がついていかない。やがて、自分たちが食べる分だけ作れればいいとなり、それが耕作放棄地を生みます。先祖代々の土地を守ってほしいけど、次の代の人たちに農業をやってくれ、と強く薦めるのもどうかと思う、と考える方も多いようです。継ぎ手がいない、継がせたくない、というのが農村の現状です。

2番目の、「土地持ち非農家の増加」も1番目につながることですが、少し説明します。もし、あなたが新規に農業をやりたいと思い、農地がほしいと思ったら、まずは農地を管理しているその地域の農業委員会と話をする必要があります。農地の売買についても委員会の承認が必要です。ところが委員会は、農家か農業従事者にしか農地を売ってくれません。農家として認められるには、しばらくの間、土地を借りて小作人として農業をし、実績を作らなければなりません。一方で、親が農家で、相続によって農地を得た人は例外的に農家でなくても農地を持つことができます。ただ、最初にお話ししたように農家のご子息がみなさん農業をやっているとはかぎりません。ご子息がサラリーマンなら、農地を持っても、結局、その土地で農業は行われないことになります。こういう方々を“土地持ち非農家”と呼んでいます。農家のご子息が後を継がないことが土地持ち非農家の増加を呼び、耕作放棄地、荒廃農地を増やしている原因になっています。ところが、農業をやりたいと考える人は増えています。これは農業委員会の方針が、時代の流れにあっていないということだと思います。最近では農業委員会の代わりに国や自治体が就農希望者を募り、マッチング事業をやっていますが、少子高齢化のスピードには勝てず、いまのところあまり効果は出ていないようです。


農家の収入は決して高くない

そして、最後の、「農産物価格の低迷」こそが、もっとも大きな理由ではないでしょうか?農家が儲からないのであれば、簡単に継ぐことも継がせることもできません。下図は、2015年の農林水産省の資料です。

一番下にある「主食用米」を見てください。10アール当たりとありますが、10アールは1,000平方mになります。販売収入は11万6千円、これに各種補助金を加えても12万3千円。経費を差し引くと、利益はたったの36,500円です。その右に年間労働時間の欄があり、26時間となっています。時給にすれば1,400円ほどになります。

10アールはタテ20m、ヨコ50mといったほうが実感しやすいでしょうか?オリンピックのプールくらいの大きさです。この面積で普通の米でかつ豊作なら500kg、ブランド米なら400kg弱の収穫量になります。販売収入11万6千円でしたので、ブランド米でもキロ当たり300円ほどなのです。たしかにこれでは作る気をなくしてしまいます。一方で、我々、消費者は、ブランド米ならキロ当たり1,000円前後、払っていますが、この差額は流通過程で消えていきます。流通会社も適正な利益を得るべきで、おかしなことではありませんが、そのためお米を直販する農業法人も現れています。個人農家から農業法人へと規模を大きくし、直販も手がけることで農業を「儲かるビジネス」へと変えていく。これが国の政策でもありますが、私はもう1つ、手立てがあると思っています。それが前にもお話した「サードプレイス」化です。




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