3つのコラム
いま、「マーケティングを再定義」、「フードツーリズムマイスターってどんな仕事?」、「田んぼは生きるエネルギー生み出す装置」という3つのコラムを連載しています。それぞれアプローチは違いますが、ニューノーマル時代を予想し、理想の形を模索しています。
「マーケティングを再定義」では、これまでのマーケティング手法のどこが変わっていくのか、なぜ変わっていくのかを予測し、どう対応すべきかを探っています。マーケティングという大きな概念はコロナ前後で変わることはありませんが、細部では大きな変化が見られます。「フードツーリズムマイスターってどんな仕事?」では、コロナでもっとも甚大な影響を被った観光関連や飲食業にスポットをあて、復活への道を具体策を交えて書いています。「田んぼは生きるエネルギー生み出す装置」では、テレワークなど働き方がコロナで大きく変化していくなか、それを従来からの社会課題の解決法として使えないかという取り組みです。3つに共通しているのは、コロナ前から存在し、解決を急がれていた課題が、コロナによって一気に噴き出し、急速に解決を模索し始めたという点です。
コロナ前からの課題とは
マーケティングにおいては単にモノやサービスの売り手と買い手という関係、金銭をやり取りするだけの関係から、もっと売り手をリスペクトしたり、買い手が商品開発において積極的に提案したり、といった深い関係が重視されてきています。もちろんずっと以前から売り手と買い手の関係は「信頼」があってこそ成り立っていましたが、ネットを通じて会ったこともない相手ともつながれるようになり、シェアという概念も広がったおかげでフェイストゥフェイスとも違う新たな信頼関係が「買う動機」として挙げられるようになってきました。
観光産業では、これまでインバウンドを中心に観光客の「数」にスポットが当てられ、観光客ひとり当たりの「消費金額」は長く「2番目」の指標になっていました。たとえ毎週日曜日に1,000人の客がその地域の観光地を訪れても、せいぜいランチかおみやげを購入するくらいで、2時間も滞在したら帰ってしまい、隣の大きな町に宿泊するといった地域があります。こういう状況では観光を振興してもあまり意味がないと言われていました。コロナ後には数を望むことはできません。観光産業の復活には「消費金額」を最重要指標として組み立て直すことが必要不可欠で、その地域を訪れるという以外の「接点」をつくっていくことも具体的な施策になりつつあります。
田んぼはどうでしょうか?
「田んぼは生きるエネルギー生み出す装置」で書いている通り、私個人の経験ですが、田植えや稲刈りなど田んぼでの農作業はとても楽しいものです。その結果、生きるための糧である主食の米を自分の力で得ることができるようになることは、力強い心の支えとなります。ただし、楽しいと思えるのは、それを生業(なりわい)としていないからです。
都会に住む者は日本の伝統的な里山や農村の風景が残っていてほしい、と思います。一方で農村側では高齢化、跡継ぎ問題が深刻で田んぼを維持することができなくなっています。ところが、いまコロナでテレワークがニューノーマルになり、農村にいても仕事を継続できるようになりました。これに副業(複業)や働く人の心のケアといったこれまでの社会課題を組み合わせれば、都会も農村もWin-Winになることができるはずです。
3つのコラムで解説している解決策は、ほかのコラムのテーマにも応用ができ、それぞれが有機的につながってこそ、『理想のニューノーマル』が実現すると考えています。そんな思いが伝われば幸いです。
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