SDGsで学校へのアプローチもマーケティング手法の1つとなります。
「採用」だけではもったいない
これまで大学や高校は採用活動の対象としてとらえてきたと思います。いま小学校から高校まで学習指導要領が変わりつつあり、「社会に開かれた教育課程」を目指す方針になったことを前回、ここでお話ししました。この社会に向けて開いていきたいという教育現場の要求に応えていくことが、企業にとってのSDGs活動であり、マーケティングにもつながっていくものと考えます。
SDGsの17の目標のなかに、『4質の高い教育をみんなに』があります。「質」の意味はそれぞれだと思いますが、少なくとも学習指導要領に則ったものであれば問題ありません。「社会に開かれた」とはどういう意味で、どう解釈して実践していくかは、教育委員会や自治体ごとに異なります。またこれまでも工場見学や企業の方などが講義を行う出前授業などは実施されてきています。どのようなかかわりが求められているのか?小中高のどのレベルを対象にするのか?については、事前にしっかりリサーチすることが不可欠です。現状、私がベストと考える取り組みは、出前授業を1回といった単発のかかわりではなく、「探求学習」で数時間の授業にかかわり、生徒たちのサポートをしていくことです。
「探求学習」
今回の学習指導要領改訂のもう1つのポイントに『アクティブラーニング~深い学び』があります。教師から生徒へという一方通行の知識だけの伝授ではなく、何を学ぶか?テーマから生徒に考えさせ、自身が決めたテーマを自ら探っていくことで深い学びを得させようというものです。それを実現するのが「探求学習」という新しい科目で、年間に数時間から十数時間を割り当てることになっています。探求学習では社会課題の解決や地域の活性化策の立案などがテーマになることが多く、その出口、つまり成果発表の場として自治体や企業、市民向けにプレゼンする機会を用意する学校もあります。内閣府が主催する「政策アイデアコンテスト」などに応募することもあります。
「探求学習」を通じて生徒と企業が共同作業を行う、とはいっても答えを言ってしまっては意味がなく、ファシリテートするのがベストですが、こうした一体感をもって「出口」までお付き合いできれば、質の高い教育に関与することができるのではないでしょうか。
この活動には即効性はないかもしれませんが、企業の知名度を向上させます。そのことが就職先の選定において有利に働けば、長期的には人材確保と社会貢献を両立させることができます。
もう1つのメリット
小中学生や高校生は『次の時代を担う世代』です。彼ら、彼女らが抱く将来への思いや懸念は、いまを担っている世代とは明らかに真剣さが違います。課題を見つける視点も違うのです。生徒たちが見つけ出す課題や解決策、そのなかは我々、現役世代には思いもつかないものがあります。多少、荒削りかもしれませんが、そこは現役世代がうまく補正してあげればいいだけ。それよりも彼ら、彼女らの「目の付けどころ」に注目してみると、新しいビジネスの種が見つかる可能性が高いと思います。これについて、今日は図だけお見せして、次回、詳しくお話しします。
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