ダイバーシティ(多様性)はSDGsの課題の1つ。ダイバーシティは性別だけではありません。
次の時代を担う世代は?
日本の会社や官公庁は世界的に見てもヒエラルキーが強く意識される社会と言われます。会社でいえば役職が上の方には意見を言いづらい風土があるということです。いまでこそ年下の上司なんて珍しくありませんが、それまでは年功序列が一般的。役職が上ということは年齢も上です。加えて「目上の方を敬え」という教えも幼いころから聞かされているので、自分より年上の方とのコミュニケーションは何となく一方通行的になりがちです。
さらにITやネットワークの急速な発展は、年代間のコミュニケーションを分断しました。50代には10代が話している日本語がわからないほどに、コミュニケーションがしづらくなっています。言葉が通じなければ、彼らが何を考えているのかなどわかりようがありません。そして重要なのは、これからの時代をつくるのは10~20代なのに、いま意思決定権を握っているのは40~60代だということです。
たとえば、これまでは若手社員がやるべきこととされていた面倒な作業があるとします。若手社員が「この作業、AIを使えば、数分で終わるんじゃないでしょうか?」と提案してきたとします。それを聞いた50代の上司は、「その作業をやることで仕事が理解できるようになるんだ!それをいやがる奴に大きな仕事は任せられん!」みたいなことを言う。こんな例は、どこの組織にもあるのではないでしょうか?「ネイティブ」を超えて考えられるか?
ひと頃、「ミレニアル世代」という言葉がよく聞かれました。だいたい20代後半から30代前半で、「デジタルネイティブ」とも呼ばれる世代です。物心ついたころにはインターネットも普及し、PCでネットに親しんで来た世代です。それより7~8歳ほど下の世代からはスマホが普及し、常にネットに接続している「ネットネイティブ」になります。さらにいまの10代はAIが簡単に使える時代に育っていて「AIネイティブ」ともいえる若者が現れてきました。AmazonのアレクサのようなAIスピーカーが普通にある世代です。この2グループは「Y世代」「Z世代」とも呼ばれます。そして、あと数年で出てくるのが「ニューノーマルネイティブ」です。ニューノーマルというのはいまだけの呼び方ですので、あとから名前が付けられるでしょうが、何でもオンラインで行われるのが当たり前という世代です。
ちょっと怖いと思うのは、ネットネイティブからニューノーマルネイティブが現れるまで、たった十数年しかないということです。あと数年でAIネイティブの若者が働き始めるのです。若手社員からの提案を、さきほどのように却下しようとする上司はもう必要ありません。
「目的」が「手段」になっていないか?
若手社員と上司は同じ物事を見ているのに、世代というか「ネイティブ」の違いから当然、捉え方が違っています。そして冒頭に言った通り、意思決定権のある上司が勝ってしまいます。皆さんもおわかりだと思いますが、この場面で、「やってみなはれ!」と言える上司の下でなければイノベーションは起きません。
この両者に建設的な話し合いをさせるには、いま見ている物事が解決したあとの「状態」をともに考えることです。●●ネイティブの激しい変化の中で、これまで目的だったことが、手段になってきているのです。それにいち早く気づけるのは若手です。なぜなら、手段はITが解決してくれるからです。それなのに、若者の提案をわけもなくはねつけ、次の目的を設定しないから世代間ギャップが生まれるのです。
こうしていつまでたってもこの国は生産性も給料も上がらないのです。
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