「フードツーリズムマイスター」ってどんな仕事?

2021/07/25

◆Tourism_1

t f B! P L

Vol.13 「かかわってもらう、ということ」

都市部の農業をしたい方に、観光地にもっとかかわっていただくところから発想してみましょう。


観光業×第1次産業

コロナで自由な移動の機会を奪われた観光業界、特に宿泊業や飲食業がすべきことは、もう一度、地元の第1次産業の方と話をすることである、と以前、このコラムでも書きました。地元ではどんな野菜が作られているのか、旬はいつごろか、ほかに調理方法はないだろうか、加工品を作れないだろうか、新しい野菜を育ててみようか、など食材の作り手と料理の作り手が話し合うことは尽きないと思います。そのなかからクラウドファンディングのネタも見つかるはずです。


貴重な体験こそ「価値」

都市部など域外の方を巻き込むには、農業であれば収穫体験が最適でしょう。これに料理や食品に加工する体験などが加われば、一気に街のファンになってくれるはずです。

先日、森県のニンニク農家さんがテレビに出ていました。採れたての生のニンニクを小イモのように大量に入れたカレーや豚汁を、大勢の方が農作業の合間に食べていました。その街では6月から7月の約1か月間が収穫シーズン。親戚や隣人など総出で収穫にあたりますが、まだまだ人手が足りません。そこのニンニクはJAなどを通さず直販だけで売っていて、買い手の皆さんに、『収穫体験しませんか?』と呼びかけたところ、毎年、数名の方が手伝いに来てくれるようになったとのこと。テレビに映っていたのは収穫体験で来ていた人たちでした。それもお金は払わず、お礼は何キロかの収穫したばかりのニンニクと、昼のまかないだけです。

「美味しい!」と思って購入するニンニク。そこから産地まで収穫体験に行ってみるという行為まで一歩、踏み出す。これこそが『フードツーリズム』だと思います。そこでは農家さんがふだん食べている調理方法でニンニクを味わうことができ、自らが収穫したニンニクを持って帰ることができます。収穫体験後も乾燥ニンニクや漬物などの加工品を購入してくれるはずです。これを水産業や林業などにも広げていきたいです。こういう形で地域のファンを増やしていけたら、それは理想の観光の形、まさにニューノーマルな観光だといえます。


「観光」は複層的なプロモーションツール

このニンニク農家さんをご紹介したかったのは、直販をメインにしている農家さんだったからです。JAなどを通じて卸しているだけであれば、収穫体験者を募集しようにも集められなかったでしょう。コロナで飲食店が営業できなくなると野菜の消費量も落ち込んでしまいますが、ユーザーに直接、販売するスタイルであれば落ち込みどころか、かえって増えているのかもしれません。

この収穫体験ですが、農家さんはそれ自体を「なりわい」とはしていません。アルバイト募集のようなものです。収穫を手伝ってくれる方が集まりさえすればよいのであれば、それ以外のところは地元の観光業者の方などが知恵を出して、街の魅力をもっと伝えられるような企画を考えてみてはどうでしょうか。クラウドファンディングも試してほしいです。これまで農家さんとは食材を仕入れるだけの関係だったものが、ビジネスパートナーという関係になれるかもしれません。

観光は街のプロモーションツールですが、「観光に来て、お金を落としてください」というだけではもったいない。本来、お金を払わないといけないコトで、逆にお金をもらえる、こんなふうに発想を広げてみてください。地域に来るだけでなく、かかわってくれるファンを増やすことで、人手不足が解消できるなど、複層的に効いてくるのです。





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