Insight Vol.10

2021/08/15

◆Insight

t f B! P L

『お盆に思う』

夏休みなのにオリンピックは終わってしまいました。コロナで出かけられないなら、少し立ち止まって考えてみませんか?


「盂蘭盆会」

ふだん「お盆」と呼んでいるのは、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という仏教行事がその由来とされています。サンスクリット語の「ウランバナー」が語源といわれていますが、これは「逆さづり」という意味なんです(詳しくは検索してみてください)。やがて日本では祖霊信仰と結びついて「お盆」となり、中国では道教と結びついて「中元節」となり、台湾や香港では「盂蘭盆会(盂蘭勝会とも)」として、いまも残っているのです。

ただ、日本だけはこのお盆に「別の意味」が加わりました。


日本のお盆

日本では、8月13日にご先祖様や近しい亡くなった方をお迎えし、16日(15日のところもあります)にお送りするというのがお盆の行事です。京都五山の送り火は16日に行われますが、お盆の間、この世に戻ってこられたご先祖様を、あの世にお送りするものです。キュウリとナスにお箸をさして馬や牛に見立て玄関に置くのも盆の風習ですね。キュウリは一刻も早くあの世からお迎えするため馬となり、ナスはこの世からおみやげをたくさん持って、ゆっくり帰っていただくため牛となり、ご先祖様を送り迎えします。

でも、私が「別の意味」といったのは、こういう風習のことではありません。

8月15日は終戦記念日、そして6日と9日は広島と長崎に原爆が投下された日です。また12日は日航ジャンボ機が墜落事故を起こした日。日本のお盆には、こうした忘れてはならない近現代の歴史が重なってしまいました。

もう数十年も前、私が幼少のころ、お盆には一家で実家に帰っていました。そこは海沿いの街で、私は海で遊ぶのが楽しみでしたが、お盆を過ぎたら海には入るな、とよく祖母にいわれました。クラゲがいっぱい出るとか、海の中で何かに足を引っ張られると脅かされたこともあります。祖母にとって夏は慰霊の季節だったのでしょう。私も子ども心に「お盆を過ぎたら夏は終わり」と思っていました。


次代を担う世代の声を聞け!

こういう感覚を人に伝えるのはとてもむずかしいですが、近現代に加わった出来事とともに、次の世代に伝えていくべきことだと思います。と同時に、次代を担う人たちの声を真摯に聞き、譲るべきはゆずる、ときを迎えていると思います。

いま全国で記録的な大雨が降り続いています。地球温暖化の影響です。これに対して、「2030年にガソリン車の販売禁止」、「2050年にカーボンニュートラルの実現」などが動き始めています。でも、30年後の2050年、私は生きているかどうかもわかりません。いま40歳の方だって70歳になっています。そんな先のことを、いま、真剣に考え、行動できますか?


ところが、いま10代の方にとって2050年は40代、一番、脂がのる時期を迎えるのです。少なくとも2050年に生きているかどうかもわからない私よりはずーっと真剣に考えていますし、行動を起こすのも早い。一方で、組織や社会のなかで、いま意思決定権をもっているのは40~50代です。この感覚のギャップは埋められません。いまの40~50代がやるべきことは、自分の経験やノウハウを伝えることや若い世代を理解しようとすることではなく、「やってみなはれ」と任せる勇気をもつことです。

まだ間に合う、と私は思いたい。





このブログを検索

My Profile

職業:旅人
コピーライター
フードツーリズムマイスター

Contact Us

名前

メール *

メッセージ *

注目の投稿

「田んぼ」は生きるエネルギーを生み出す装置

QooQ