域外の方に、「かかわってもらう」ことも、いまは多様化してきました。
社会課題が多いほど良い?
「かかわってもらう観光」の主役は、あくまで「人」。このコラムでニンニク農家さんの話をしましたが、集まってくる方々は単にニンニクが好き、ほしいというのではなく、その農家さんのニンニクへの思い、その土地への思いに共感して集まってきていると思います。
それにしても、ニンニクの収穫を手伝ってください!と呼びかけることが、人を呼び込み、その土地のファンづくりにつながるというのはおもしろいと思います。してもらったほうはもちろん、したほうも満足感を得られる「ありがとう」の交換になっていることが、大事なのです。こうなると、高齢化率が高い、だから農業の担い手がいない、耕作放棄地が増えたなどといった地方でお決まりの社会課題がそこそこあるほうが、都会の人から見れば、「かかわりやすい」、「かかわる糸口を見つけやすい」と言えます。求人情報のように、困っているので手伝ってもらえませんか?といったアピールが、人を呼び込める時代になってきたのかもしれません。
「関係」案内所
前回、「関係人口」の話をしました。移住人口や交流人口に次ぐキーワードになりつつあります。その名の通り、「かかわってくれる人」です。都会の人が、地方とかかわりたいという欲求を持つようになり、それが大きなうねりになったのは、ずいぶん前からです。私の感覚ではリーマンショックごろからではないかと思いますが、昭和にもあったかもしれません。その欲求は決して減ることはなく、ある程度のボリュームを保っていました。それがコロナによってテレワークや新しい働き方が浸透することにより、実現しやすくなり、再び増加傾向になったのです。これはもう「観光」とはいえないかもしれませんが、「観光」というものの、観光地側にとっての本来の目的を考えれば効果は同じです。
そこでいまときどき耳にするようになったのが、観光案内所ならぬ「関係案内所」です。私が最初に聞いたのは、ソトコトの編集長があるセミナーで講演されていたときでした。彼曰く、「スナックみたいなもの」と言っていましたが、まさにその通り!と共感しました。田植えとか野菜の収穫など農業体験をしてみたい、お金を払ってもいいから体験してみたい、という人も少なくありません。前述のニンニク農家さんのようにお金はいただかず、人手として活用させていただくというやり方は、その街の関係人口づくりにうってつけです。漁業や林業でも取り入れられると思います。むしろ第1次産業のほうがなじむやり方だと思います。
ただ、そういう情報はなかなか表に出てきません。それにすべての農家さんがうまくやれるとは思えません。おそらくこういうことは苦手なはず。それを取り持つのが、「スナック関係案内所」です。この案内所がうまくいく秘訣はスナック自身が仲を取り持つことを商売にしないことです。スナック側も街の関係を案内することでお店のお客さんが増えて、飲食でお金を落としてくれればいい、程度でやってくれることだと思います。スナックとは何だろう?
とはいえ、本物のスナックでは現地にいかないと入れないし、昼からお酒を飲むのもなあ、と思います。スナックのような機能を持つもの、できればネットでも利用できるものを考える必要があります。私はその役割を果たせるのはメディアみたいなものではないかと考えています。
0 件のコメント:
コメントを投稿