Insight Vol.11

2021/10/15

◆Insight

t f B! P L

『経済と医療を天秤にかけてはならない』

コロナとの共生を模索するなかで、経済活動をどこまで緩和すべきでしょうか?


「命」は最優先

国境を越える移動はもちろん県境を越える移動も、不要不急の外出も控える、会食は2名まで、イベントは無観客、、、など、人の移動や集合といった行動を押さえることしかコロナへの有効な対策がなかったところから、ワクチンによって行動制限は少しずつ緩和されてきました。日本では「経済よりも命が優先」という言い方をたびたび聞きました。それはたしかに正しい。けれど、ほかの思考をシャットアウトさせてしまうものでもあります。経済だって人を死に追いやることもあるのですから。

新規の感染者数が激減したいまでさえ、通常に比べれば医療はひっ迫しています。まだまだ医療関係者の心が休まる状況ではないと思います。ただ、ワクチンが60%以上もいきわたり、重症化するリスクは明らかに減ってきています。個人的にはこれまでの規制や呼びかけを緩和し、経済活動を再開すべきだと考えています。


順番が違う

飲食店の営業時間制限を緩和しお酒の提供を認める、県境を越える旅行の再開、スポーツやエンタテインメントなどイベントの入場制限を緩和するなど議論が進んでいます。2回のワクチン接種やPCR検査で陰性であることを条件とすることが多いのですが、スポーツなどキャパの大きいイベントではワクチン接種がまだの方とエリアを分けるなどの施策も実証実験に入ります。「Go To トラベル」も復活時期を模索しているようです。

さきほど私は経済活動の再開には賛成と申し上げましたが、ちょっと順番が違うと感じています。まずは医療体制の見直しから着手すべきでしょう。

中等、重症者と無症状、軽症の方を収容する施設を分ける、ホテルをもっと活用することと、中等以上の感染者に対応するコロナ用の病院と一般診療用の病院を分けることが最優先だと思います。それぞれに必要な設備や人員を確保し、関係者への給与増額なども喫緊の課題です。「Go To トラベル」は観光、運輸関連を中心にコロナで打撃を受けた観光地などにお金が回すためのいい制度だとは思いますが、ここに1兆から数千億円単位の予算を付けるのなら、その前に医療関係者や感染者用ホテルの従業員などへ厚い処遇をすべきだと思います。もし、第6波があっても医療体制ができていること、ワクチンを打っていれば重症化のリスクは低いこと、つまり軽症者用の施設での療養で多くの方は何とかなること、を国民が自覚できれば、おのずと旅行にいく人は増えるでしょう?補助金が早急に必要とは思えないのです。


日本の観光はどうすればいいのか

とはいえ観光関連、特に地方の宿泊や飲食、みやげ物店などはコロナで相当な打撃を受けています。補償も十分とはいえません。ひと頃は老舗旅館が廃業というニュースもよく聞きました。インバウンドは2020年に4,000万人という目標を掲げていましたが、いまはその1/10の規模になってしまいました。

1つの解決策として、「来てもらうだけでなく、かかわってもらう観光」を、私はコラム『フードツーリズムマイスターってどんな仕事?』でお話ししてきました。私にはコロナ前の観光業がいい状態だったとはとても思えないのです。そもそも地域にとって観光は何のためにあったのかを、もう一度、突き詰めてみることです。

再興するチャンスはいましかありません。





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