「スナックはメディア?」、この件、もう少し、話を続けたいと思います。
メディアは待つだけじゃない
スナックだってお客さんにメールや電話をすることもあるでしょうが、「お店を構えて待つ」、というのが基本姿勢だと思います。また誰がお客さんなのかは店主だけが知っていることで、お客さんのなかの誰と誰を紹介するかは店主が判断します。店に居合わせた客同士が偶然、話をするということもあるでしょうが、店主が意図的に紹介するところがおもしろいのです。
その点、メディアは自ら取材対象を探し、記事や写真を掲載します。取材対象はお客さんではありませんが、能動的に「知り合い」をつくっていきます。またその記事を読むのは不特定多数です。なかにはメディアが取材対象同士をつなげることもあるでしょうが、おそらくたいていの場合は、読者が会いたいと思った取材対象に直接、アポを取るでしょう。スナックとメディアはまったく違うもののようですが、誰かと誰かを引き合わせるという機能は同じです。これがローカルなメディアの場合は、ぐっとスナックっぽくなってきます。最近、読んだ『地方を生きる』という本は著者である小松理虔さんの実体験をもとにした、ローカルメディアのおもしろさや可能性が書かれています。福島県いわき市出身で中国・上海にも暮らしたことのある筆者が、Uターンした故郷で、まさにいまも活動を続けています。
スナックにいけば楽しい!
スナックといえば常連さんが集まるところです。酒を呑んで、話をして歌でも唄えば、毎日、来ていても飽きない、楽しい!という場所です。一見さんはなかなか入りづらいですが、入ってしまえば、地元の人たちが楽しんでいる姿を見ることができて、いっしょに呑んで楽しめるかもしれません。地元の方が楽しそうでなければ、外から人は集まりません。でも、人はこうした楽しそうなときだけではありません。一転、何かに一生懸命、打ち込んでいるときや、そのために悩んでいるときも、魅力的だったりします。そういう両面を見せるのもスナックとメディアの共通点のような気がします。
もう1つの共通点
スナックとメディアのもう1つの共通点は、自らもときどき当事者になってしまうところです。だから、「民間」でなければ成立しません。つまり「関係案内所」は官がやることではないのです。自らもときどき輪の中に入ってしまう、楽しんでしまう、苦労もともにしてしまう。そうでなければ人は集まってきませんし、紹介しても化学反応は起きにくいのです。べったりではないけれど、ドライすぎない関係、これが「関係案内所」の立ち位置だと思います。
交流人口や定住人口は多ければ多いほどよいこととされて来ました。ところが関係人口は数ではないのですし、ゴールもさまざま、やってみないとわかりません。官のように、「KPIという罠」にハマりやすい組織では対応できない。地元とヨソ者、2つの「民」が主役です。
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