「田んぼ」は生きるエネルギーを生み出す装置

2022/08/10

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Vol.24 『農業は長いお付き合い』

漁業に釣りがあるように、農業にもサービス業化できる要素はないものでしょうか?


貸し農園、農業体験

都内では1坪ほどの土地を年間を通じて貸し出す農園がたくさんあります。主に行政が貸し出していますが、毎回、応募が多く抽選になり、なかなか当たらないとも聞きます。民間でもビルの屋上にこういったスペースをつくって貸し出しているところもあります。JAと組んで借りた本人が行けないときは草むしりや肥料をまくなどを代行してくれるサービスもあったりします。地方でも棚田の1枚の使用権を与える「棚田オーナー制度」などは、数十年も前から実施され人気を集めています。

また、毎年、田植えの時期になると「田植え体験」を実施する農家さんもあります。だいたい数千円の参加費を取っているところが多いのではないでしょうか。実際に参加してみると、むちゃくちゃ楽しいです。十分、参加費の元は取れたと思います。なかにはその田んぼで採れたお米を後から送ってくれる農家さんもあります。

農家さんにとってこのようなサービスを自分の畑や田んぼで実施することは十分な見返りがあることなのでしょうか?


釣り船との大きな違い

畑であれ田んぼであれ、単に農地を貸す、農業体験を実施するだけでは、農家さんにはあまりメリットはないと思います。むしろ他人に農地をいじられたくないという気持ちのほうが大きいのではないでしょうか。いくばくかの貸し出し料や参加費が得られたとしてもです。ここは漁師の方が釣り船として、1日単位で船を出せるのとは大きな違いがあります。

漁師の方はただ船を出すのではなく、自分が漁業権を持っている海域でその日、魚が釣れそうなところにお客さんを連れていく、釣り方を教える、道具を貸すなどの高度なサービスを提供しています。農家も農地を貸した方に、種や苗を用意し、畑の耕し方や肥料の与え方を教え、草むしりから害虫駆除やらいろんな技術を提供します。月に1回くらいしか来られない方にはこれらの作業を代行してあげることになります。漁師と違うのは1日では終わらず、収穫時期まで数か月も続くことです。これでは自分で野菜や米をつくっているのとあまり変わりありません。


「農地を貸すのではない」という考え方

もし貸している土地で収穫できる野菜の出荷価格よりも高い価格で貸せるなら、ビジネスとして成立します。収穫までの数か月分、毎月またはまとめて貸し出し料を取ることができるので、出荷価格を超えられる可能性は高いです。さっきと逆ですが、ここが釣り船と違うところです。長期にわたって顧客との接点を持てるのが農業の強み。農地を借りている人たちがつくれない野菜や米などを、お借りしている農家さんから買うという流れも自然にできてくるのではないでしょうか。農家さんが直接、消費者に生産物を売るためのプロモーションと考えれば、ただ農地を貸すだけではない、新たな農地の活用が見えてきます。





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